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かにの泡ぶく


2006-11-17 お仕事に行く空気もすっかりヒンヤリ。

_ 厚手のジャケット発動。

本日仕事で出かける際、いつも冬になると着るジャケットをついに発動。真冬と今との違いは、これにコートを羽織るかどうかだけ。

毎年思うのだけど、最近、秋が短いね。涼しくなってきたかなぁ〜〜って思った途端に寒くなる。

_ コンデンサは害悪か?


ヘッドフォン試作アンプの基本回路上、気になっているところがひとつある。

それは、温度補償が無いことでもなく、SEPPが一段のみの駆動であることでもない。それは、入力段のバッファとドライバの間にあるカップリングコンデンサの存在だ。

初段の2SK30Aによるソースフォロワバッファは私の趣味で入れたものであるが、わざわざ入れたのには相応の考えがあってのことである。このアンプの前に繋がる機器が現代の半導体機器であれば2SK30A無しでいきなり2SK170に繋いでも、大きな問題は無いかもしれない(いや、それでも私はやっぱ入れたいと思うが・・・)。この2SK30Aを無くしてしまえば石が一個減ってよりシンプルになるだけでなく、カップリングコンデンサを一個無くすことができる。

ここは、大変に悩むところだ。

私がアンプの入力段に高インピーダンス入力のバッファ段を好んで入れるのにはいくつか理由があるが主なものは以下の通りだ。

    1. 前段に繋がるものについて、あまり条件を限定したくない。
      前段が半導体出力であればインピーダンスは低めなので受け側の入力インピーダンスが10Kオーム程度でも問題ないと思われるが、もし真空管のイコライザアンプ等を繋げることを想定すると、受け側の入力インピーダンスは最低でも100Kオーム、出来れば500Kオームぐらい欲しいところだ。


    2. 前段に繋がるものに、一切の影響を与えたくない。
      1.と本質的には同じ理由なのだが、高インピーダンスの入力バッファが無いとこのアンプの負荷(ヘッドフォン)の影響が少なからずこのアンプの入力インピーダンスにも干渉してしまう。数百オームのヘッドフォンなら影響は軽微だろうが、仮に8オームのバックロードホーンを繋げられたらと考えると(ヘッドフォン専用なのだからそんなこと想定不要って話もあるけど)・・・

となるとやはり2SK30Aのソースフォロワは外せない。
ソースフォロワがあっても、次に繋がるドライバ段のバイアスを調整すれば、カップリングコンデンサは理論的には外すことができる。

が・・・

今回はヘッドフォンアンプってことで、ヘッドフォンがポータビリティー高い機器なのでアンプ側もポータビリティー高くしたいという点と、電源のクオリティーを上げたい、極力ノイズレスにしたいという思惑と、最大出力100mWもあれば十分という仕様上好都合な条件もあり、電源を電池駆動とした。結果、実用性も考えて単三電池8本で12V駆動ということで設計を進めたこともあり、電源電圧は1V足りとも無駄にはできない。

カップリングコンデンサ無しでいけるようにドライバ段でバイアスをとろうとすると、ドライバ段のソース電位を最低でも1.5Vぐらいまで上げねばならない。その分電圧が無駄になってしまう。これは痛い。かなり痛い。また、電源電圧の変動や動作温度の変化による動作点のズレ等を考えると、微妙なバランス上で動作するような設計はあまりしたくない。

ということで、必要なものは必要なので、カップリングコンデンサ有りで今のところチューニングを進めているが、このコンデンサがあることにより害悪があるかというと、今のところ私の判断は「No」である。

私の耳が腐ってる?

信号ラインに入れるコンデンサを毛嫌いする気持ちはわかる。と、先日もここで書いたが、これを取るがために複雑怪奇な回路を実装するぐらいなら、はじめのアプローチとしてはシンプルに考えて良質なコンデンサを入れるんでもいいんじゃね? というのが私の考え。

もとより、ヘッドフォンとのカップリングに巨大電解コンデンサを入れているが、こんなのも私はあまり目の敵に感じない。

もちろん回路の規模、アンプの規模に見合ってOCL化できそうなバランスで設計できる場合はOCLにするけど、トータルバランスというものは各所個別の実装以上に性能に影響するものであるとも思うし。

だから、今回は信号ラインにコンデンサが2個入ることになる予定。

DCアンプがあたりまえの今、しっかり直流を遮断し、各段分離して作った回路というものは今となってはまさに古典的な化石設計であるが、シンプルにした場合そうならざるを得ないのであればそれでいいじゃないの。それが悪い回路なのかそうでないのかは、音を聴いてのお楽しみ。

なにごともやってみないと・・・ね。

事実、私が過去に作ったMMカートリッジ用の2SK30Aのイコライザアンプは、友人知人宅に持ち出してメーカー製の専用プリアンプと対決させてもその表現力においては常に優位な対戦成績であった。が、これなんか、カップリングコンデンサを4個も使っていたのだ。後で種明かししたとき、DCアンプじゃないと知ってみな一様に驚いていたものだ。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
_ chihana (2006-11-18 21:59)

始めまして、ラジオ少年の頃、<br>NECのST300やソニーの2T73を使った世代です。<br>自作のお話、楽しく拝見させていただいております。<br><br>カップリングコンデンサーの件、<br>帰還ループの中に含まれた場合<br>「悪」となると考えております。<br>ループの外なら質の悪いケミコン以外なら余り悪さはしないと<br>考えています。

_ 青木 (2006-11-19 11:45)

chihanaさん:ようこそ! はじめまして。<br>ST300、2T73をお使いと言いますと、chihanaさん大先輩ですね。今後ともよろしくお願いいたします。<br>2T73 -> 2SC73 の時代のソニーって、あの『永久保証』の時代ですよね。今では考えられないすごさだと思います。<br>カップリングコンデンサへのコメントありがとうございます。


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