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かにの泡ぶく


2006-11-04 楽しい電子工作な日々。

_ バイアス回路の考察。


2SC1815 / 2SA1015 SEPPでのヘッドフォンアンプがどうも歪みっぽいので、これが改善可能なのかどうなのか、バイアス回路を少しいじってみることにした。

現状は、シリコンダイオード(10D-1)の0.6V順方向電圧降下を利用して、スイッチング歪みを補正している。が、やっぱ少しはアイドル電流を流してAB級っぽくすればよいのでは? と考え、図1のようなバイアス回路にしてみた。
が、終段アイドル電流を0から10mAぐらいまで増やせば歪み感は多少改善されるものの、あまり本質的な改善は見込めない。これって、この石の音なのかなぁ。

どうも、2SC1815 / 2SA1015 SEPPでの歪み感は、バイアスだけでは無いようだ。

_ 只者ではなかった同番コンプリ。


取りあえず終段の石を変えてみよう・・・と思い、手持ちの石を漁ってみると、なんとなんと、古(いにしえ)の電力増幅用ゲルマニュームトランジスタを発見! しかも、泣く子も黙る(*1)同番コンプリの 2SB178 / 2SD178 というもの。最大コレクタ電流300mA、最大コレクタ損失225mWと、2SC1815といい勝負・・・というか、流せる電流は2SB178(2SD178)の勝ちだ。

*1:確かに同番コンプリのしかもゲルトラは今となっては超貴重品だが、
泣いている子供にこれを見せても決して黙ることは無いと思われる。

しかしなんでこんな石持っているんだ? 過去に使った記憶は無い・・・っと、思い出してきた。確か、この石を見かけたとき、同番コンプリなんて面白いな・・・っていう理由だけでゲットしたのだったっけ。まさか、こんな形で活用できるとは夢にも。

同番コンプリっていうのは美しい。実際、トランジスタのコンプリペアって、2SC1815 / 2SA1015 のように枝番が異なる。しかし 2SB178 / 2SD178のコンプリペアはこの枝番が同じである。まさかこれは偶然ではあるまい。ってことは、商品企画時から設計者達は、『これらのコンプリペアは同番にしようぜ』って感じで相当各所に根回ししてトランジスタの開発、製品化に臨んだに違いないのだ。

まさに、産まれるべくしてこの世に生まれ出でたコンプリペア。これをコンプリで使わずして、コンプリを語るべからず・・・

いいねぇ、こういうこだわり。

もちろんトランジスタの品番自体が性能に直接的に影響を与えるはずはありえないのであるが、こういうこだわりを持って産まれ出でた製品というのは、やっぱシンがあってなにかが違うものだ。設計者サイドの心意気を感じるというか。でも同番コンプリになったほんとうの理由を知っているかた、ぜひ内緒で教えてください。実は偶然だったりして・・・?


早速ブレッドボード上に乗っている2SC1815 / 2SA1015と換装だ。余談だが、確かにブレッドボードは大変に便利なツールだが、どうも、こう、どっかくすぐったいような落ち着かなさを感じる。オーディオ周波数帯だとは言えこうも適当な配線でよいものか? というよりは、こうも適当な配線であることを織り込んで全てを評価しないといけない。最終的な試作評価はやはり、実験基板で最短結線の接触抵抗限りなくゼロオームでやらねばならない。

話を元に戻そう。

コレクタマーク付きカンタイプの石使うのなんておそらく数十年ぶり。一瞬『あれ? ECBだっけ? EBCだっけ?』なんて混乱するも、なんせこれまた数十年ぶりの眠りからこの石が覚めるかどうか・・・取りあえず使えるかどうかを調べるため、デジタルテスタでhfe測ってみると、1000以上の値を叩き出す。いくらなんでもそんなことはないだろう。このデジタルテスタ、ゲルマニュームトランジスタ測れないのか? まぁいい。まずは換装だ。

ゲルマなので、スイッチング歪みの原因になる0V近辺の不感帯は少ないはず。0.2Vぐらいか? ってことでメルトダウンが怖いので終段アイドル電流は常時ワッチしながらバイアス無しのベース直結で鳴らしてみる。思ったとおり終段アイドル電流はほとんどゼロ。しかし音は歪みまくり。やっぱゲルマでも不感帯分を相殺しないとだめか。
ということで、音を鳴らしたままの状態で回路を組み替え、シリコンダイオード1個入れて、0.6/2=0.3V/石 分だけバイアスかけてみると、終段アイドル電流一気に増加でテスター25mAレンジ一気に振り切りでメルトダウン寸前・・・速攻で電源断しようとするもちょっと待て。なんだこの今、鳴っている透き通った音は。音源であるCDは、MJQのラストコンサート。おー、なんと透明感溢れる澄んだ音なのだ。

と、酔いしれる間も無く2.1秒ぐらいで電源オフ。 2SB178 / 2SD178 は触れるか触れないかぎりぎりぐらいに熱くなっている。危ない危ない。貴重なゲルトラを、もう少しで焼損させるところだった。

『これはいける』

終段のバイアス回路の先は2SK170だ。ってことは、ここは2SK170の定電流効果がある程度期待できる。ってことは、バイアス電圧生成用に抵抗使っても平気じゃね? という考えのもと、シリコンダイオードを0.4Vの電圧を発生させる程度の抵抗で置き換えてみることにした。2SK170のアイドル電流は5mAに設定しているので、計算上80オームで0.4Vを発生するはずであるが心配なので500オームの半固定抵抗で様子を見てみることに。

ダイソーヘッドフォンでモニタしながら500オームの半固定抵抗ショート状態で電源オン。この状態では終段のベースは直結なのでスイッチング歪みでまくり。で、電流計と睨めっこしながら半固定抵抗を回しつつ、音をききつつ、終段にアイドル電流が流れるかながれないかぐらいの、すなわち、半固定抵抗の両端に0.4V程度の、スイッチング歪みが補償されるぎりぎりぐらいの電圧が生じる点をすぎると、とたんに音がかわる。

素晴らしい。

少し深くバイアスをかけて、終段のアイドル電流を増やすと音にグッと躍動感が出てくる。

背筋に寒気が走った。これがゲルマの音なのか。

ダイソーヘッドフォンで走る背筋の寒気とはどんなモンなんだ? という議論は別途必要だとしても、とにかくこれはいけることは間違いないと確信。

いい気になって、これまた自室の30cmバックロード+10cmフルレンジを直列に繋いでインピーダンスを16オームにしてみたスピーカーシステムに繋いで鳴らしてみる。ここまで重付加だと、メルトダウンの危険性がさらに高まるので電流計から一瞬たりとも目が離せない。

これもまた素晴らしい音だ。これがゲルマの音なのか。

かれこれ30年以上、ラジオの製作やオーディオアンプ作り、電子回路の製作を趣味としてきたけど、思えばHi-Fiを目的としたゲルマニュームトランジスタの音って、真剣に聴くの今日がはじめてかもしれない。

私が小学生のころにはじめて作った一石ラジオは、ダイオード出力を2SB54で低周波増幅し、クリスタルイヤホンで聴くというものであったがこのあとすぐに2SC372、2SC945などのシリコントランジスタがメインになってしまった。その後もゲルマニュームトランジスタは高周波増幅で2SA100なんてのをかろうじて使ったことあるぐらいで、2SC372が40円で買えるのに当時60円以上したゲルマニュームトランジスタをわざわざ使う理由もなく。 あれ、なんか価格の記憶が混乱だ。2SC372は140円だったっけ? とにかく、2SC372よりも、2SA/2SBの定番石のほうが高かったのだ。

しかし今、最大出力200mW程度、2SB178 / 2SD178 SEPP OTLアンプがドライブする30cmバックロードホーンの音に耳を傾けるに、なんとなく、遠くに忘れ去り、気が付かないうちに置き去りにしてきてしまったとても大切なことに改めて触れることができたって感じだ。


ダイソー\210(税込)ヘッドフォンでアンプ実験回路の視聴する私。


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