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かにの泡ぶく


2006-09-15 お仕事な一日・・・

_ 朝から晩までお仕事。

はい。まぁ、いつも仕事はしているのでわざわざ書くまでもないのですけどね、最近、電子工作、ラジオ回路ネタばかりなせいか、『青木最近ヒマなのか?』と、友人知人から心配メール? がちらほら。

心配どうもありがとう。大丈夫です。「ぼちぼち」やっておりますんで。

_ モノを作るエンジニアとして。

どうもですね、最近の技術は見た目から内部構造や動作が想像できないデバイスばかりで、やっていて「モノを作る」という点では直感的な充実感がありません。

私が生まれてはじめて組んだ電子回路は、小学校低学年のころ(多分二年生のころだと思います)、単一電池と豆電球を、指で直結しただけのものでした。懐中電灯って(当たり前ですが)スイッチ入れると光るじゃないですか。それが、乾電池が持っている電気の力で豆電球が光っているのだろうぐらいは理解していたと思いますが、なぜかそれを自分で作ってみたくなったのです。当時、ウチの親父は大工でしたし、今の我が家みたいに配線材やトランジスタが家の中のそのへんに転がっていたりすることはありません。どうやって調達したかは忘れてしまいましたが、とにかく電線をどっかから調達してきて、懐中電灯のなかの豆電球をはずして、口金のところに線の被覆を剥いて巻きつけて、手で持って豆電球に通電したみたのです。

光りましたよ。

ついさっきまで正常に動いていた懐中電灯から取りだした豆電球に通電しているのですから、光るに決まっているのですが、その当たり前なことを自分で検証できたことがとても嬉しくて、真っ暗な押入れの中に入って、中で自分の手によって光っている豆電球の光をいつまでも見ていたような、おぼろげな記憶があります。

電池と豆電球というのは大変に直感的でわかりやすい回路です。ですから、回路実験が成功したときの嬉しさというか、充実感というのはひとしおだったのでしょう。
その後、レモン電池作ってみたり(レモンがもったいないと親に怒られた)、マンガン電池をぶっ壊して中から亜鉛板と炭素棒を取り出し、これをいろんな液につけてみたりして、遊んでいました。

そんな延長線上に今のラジオ工作の趣味というのはきっとあるのだと思うのですね。

私のここ数年のメインの仕事は、コンピューター上で動くいろいろなもののシステム設計やアプリケーションソフト開発、画像処理LSIの処理アルゴリズム設計やシミュレーション、それを使った撮像系の画質調整だったりという、言うなれば大変に高度なシステム上で稼動する事象を対象としています。コンピューターがどういう原理で動いているのか、極めて基本的な動作原理は頭ではわかっているつもりですが、それが、先の豆電球が光る回路のように実感できているかというと、私にとっては全然実感なんかできやしない代物です。私が書いたコードがコンパイラによって機械語に翻訳される。それをマウスでダブルクリックするとイベントをOSが理解してその実行コードを主記憶にロードし、実行アドレスから中央演算処理装置が命令を読み込んで実行する・・・・

回路的にも、画像処理LSIなんて、目で見てもただの黒っぽい、四角いシリコンがモールドされた塊。この中でなにがどうやってどうなっているのかなんてことは、全く体感できません(このLSIの実装設計や製造をしている人達はひょっとすると体感できるのかもしれません)。

仕事では、こういう大変に抽象化された高度なシステムの上の世界でいろんな難しいことをしているのですが、これはこれでとても面白いことです。すごく複雑で高度なものがどんなふうに詰まっているのか、具体的に想像すらもできないような四角い塊に対して、いろいろな命令を発行し、大変な苦労をしながら詰めてきたパラメータを与えて魂を入れていくのです。これはとても面白くエキサイティングな作業です。

が、一方で、私が入れたパラメータは、内部ではどこでどうやってどういう回路制御で動作しているのか? というところまでは、到底体感できないし想像もできません。実際、そんなとこまで深入りする必要は全く無いのです。ロジックが正常であり、仕様どおりにチップが動いてくれさえすれば、目的は達せられるのです。

私が生まれてはじめて使ったICは、タイマICの555というものでした。
四角いヤツに片側4本、計8本の足が付いているもの。これで一定の時間が来るとリレーを動作させるという回路を作ってみたのですが、一発で期待動作をしたものの、なんとなく釈然としない、なんとも言えない消化不良な感じを抱いたことを今でも覚えています。今までトランジスタでディスクリートで組んでいたCR時定数によるタイマ回路に比べると、この四角い塊の内部で行われていることが実にわかりにくい。等価回路を見ればそりゃわかるのですが、『なんだよ等価回路って』って感じでした。

目的としていることは完全に達成できたし、期待通りの動作もしているのですが、なんというか、そこで行われている仕組みが体感できないというのでしょうかね。

そんなところの、私のエンジニアとしての心の隙間を埋めるため、今のご時世に真空管の増幅回路や検波回路をあーだこーだと実験しつつ、『自分で体感できる世界での』モノ作りを楽しんでいる自分というのは確かに居ると思います。


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