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かにの泡ぶく


2009-07-29 毎日曇天じめじめじめ・・・

_ オリンパスE-P1の立てすぎエッジはどうにかできるのか?

7月17日の泡ぶく で指摘したE-P1標準設定でのエッジの立てすぎ問題。これを下品と感じるのはあくまで私の主観であってこういうのが好きな人も居るという事情はわかります。でも、なんとかならんもんかな〜 と思ってRaw現像でシャープネスをマイナスに振ってみたりしてみてもどうもイマイチぱっとしなかったこともあり、この問題はほったらかし状態のままでした。

が、その後、数日前にツッコミをいただいたこともあり、一度きちっと整理しておこうと思い立ち再度データ採取してみましたのでご紹介します。

E-P1をお持ちで無いかたのために簡単に説明しますと、E-P1は撮影画像の「仕上がり」設定として、VIVIDとかNATURALとかポートレートとかモノトーンとか、いくつか選べるようになっているのですが(最近のデジカメならよくある機能ですね)これら個々の設定について、彩度、コントラストなどが個別に設定できるのです。

今回は、カメラからJPEG最高画質出し画像での評価とし、出荷時設定(すなわち標準的な撮影設定)であるNATURALモードで撮影し、このなかのSharpness設定だけを振ってみて画質がどう変化するかを、見てみました。

まず、MTF変化から。標準ズームで位置は最大解像力を得られる14mm広角端。ISO100、F6.3、AE出た目です。

順当に変化していることが、よくわかります。これを見る限りでは、-1 と -2 の間ぐらいが実はフラットじゃね? というような感じです。

実際の解像力を測定してみます。測定にはHYResを使い、数値に主観が入らないようにしました。

標準ズーム広角端(14mm)、ISO100、 F6.3で撮影。

       | TV本解像度       | 解像率(基準3024)   Sharpness | 垂直[TV本] 水平[TV本] | 垂直[%] 水平[%]   ==========+==========================+===================     -2  |   2476   2525   |  81.9   83.5   ----------+--------------------------+-------------------     -1  |   2509   2492   |  83.0   82.4   ----------+--------------------------+-------------------      0  |   2537   2510   |  83.9   83.0   ----------+--------------------------+-------------------     +1  |   2604   2647   |  86.1   87.5   ----------+--------------------------+-------------------     +2  |   2644   2525   |  87.4   83.5   ==========+==========================+===================



左は、垂直解像力を測定する部分を200%拡大表示したもののキャプチャーですが、実際目視で比べてみると、実質の解像力はそれほど大きく変化してないように、見えます。HYResの特性なんでしょうかね。

画像をよ〜く見てみますと、Sharpness -1 でもなにか少しエッジ強調が働いているようです。ということは、エッジ強調がほとんど作用しない状態の画像は Sharpness -2 であり、0 というのはオリンパスが考えるところのお勧めSharpness強度ってことのようです。



この結果から、私は以下のように考えました。

・E-P1のSharpnessがNeutralになるのは -1 であり、0 は、若干強めなSharpnessがかかっている。
・+1 になると破綻が生じはじめる。

よって、自然な解像を得たい場合には、Sharpness -1 か、場合によっては -2 で撮影するほうがよいようです。 -1 でもSharpnessかかってますからね。そう考えると -2 と -1、-1 と 0 との間に、もう一段階欲しかったなぁ。Raw現像ソフトのほうはシャープネス設定が 15 段階(-7 〜 0 〜 +7)になっているのですが、こういう細かいこと言う人はRawで撮って現像しろってことなのかな。面倒くさいなぁ・・・

最後に、今回使った元画像をおいておきます。ご自身の眼でじっくり見たいかたはどうぞ。フルサイズですから各5MBytes前後のJPEGです。撮影倍率0.5でチャート撮ってますからその点ご留意を。HYResで測ってくれればそのままで大丈夫です。

Sharpness -2   Sharpness -1   Sharpness 0   Sharpness +1   Sharpness +2

_ 昔のレンズでMTF。

ついでと言ってはなんなのですが、手持ちの50mm標準レンズがE-P1でどんな解像特性を示すのか、調べてみました。いずれも戦前〜1960年代ぐらいの古いレンズ達です。ズミクロン以外はこちらで紹介してますので、ご興味あればどうぞ。ズマールはこちらで。



早速MTFです。E-P1はISO100, Sharpness 0。レンズはF5.6で撮影です。ズマールは前玉の風化が進行し、覗いてみただけでも曇っているのがわかるぐらいコンディションが悪い状態ですのでその点ご留意ください。

実に興味深いカーブです。キヤノンの50mm/F2.2というレンズは、画を見る限りでは随分しっかりした写りを見せるのですがなんという低MTFカーブ。あれほど風化しているズマール(戦前のノンコーティングレンズ)がこんなに健闘しているのもかなり意外です。すごいですねライカってのは。

しかしながらズミクロン(1956年製)はさすがにぶっちぎりです。ニッポンのカメラメーカーがライカに追いつけ! 追い越せの時代だったこのころ、キヤノン50mm/F1.4の根性が垣間見えます。なかなか気合い入ってます。

さて解像力。いつものHYResで測定しました。

     | TV本解像度       | 解像率
 Lens  | 垂直[TV本] 水平[TV本] | 垂直[%] 水平[%]
==========+==========================+===================
ズミクロン|   2590   2504   |  85.6   82.8  50mm/F2のMマウントレンズ
----------+--------------------------+-------------------
エルマー |   2353   2549   |  77.8   84.3  50mm/F3.5のLマウントレンズ
----------+--------------------------+-------------------
ズマール |   2546   2393   |  84.2   79.1  50mm/F2戦前のノンコートLマウントレンズ
----------+--------------------------+-------------------
CanonF2.2 |   2401   2348   |  79.4   77.6  50mm/F2.2のLマウントレンズ
----------+--------------------------+-------------------
CanonF1.4 |   2579   2474   |  85.3   81.8  50mm/F1.4のLマウントレンズ
----------+--------------------------+-------------------
Jupitor  |   2529   2493   |  83.6   82.4  50mm/F2ののLマウントロシアンレンズ
==========+==========================+===================

  全レンズとも、F5.6で撮影。E-P1は ISO100、Sharpness設定は、0。   ズマールは前玉の風化が激しくくすんで見える。

ぶっちぎりのズミクロンに、猛追するキヤノン50mm/F1.4。あの風化ズマールの数値にも眼を見張るものがあります。

E-P1の標準ズームレンズのときのデータと比較してみると面白いです。風化ズマールでさえ垂直 2546本をたたき出すというのに、E-P1標準ズームのSharpness 0 時の垂直解像力は 2537本。少し負けてるじゃないの。いやまぁこの程度は誤差の範囲だとしても、MTF曲線を見てみればさらに両者の性質差がはっきりします。標準ズームがあんなにもエッジ過剰補正状態なのに、ズマールときたら素直な右肩下がり。にもかかわらずこの解像力。う〜むこれがレンズの持つ基本性能の差なのか?

魅惑のロシアンレンズであるジュピターも地味に健闘しています。このなかでは一番安いレンズ(確か5千円ぐらいで買った)でこの性能。素晴らしいコストパフォーマンスです。実際の写りも良いですしね。

_ オリンパスE-P1の基本性能は如何に?!

最近実写する気がなかなか起きない理由のひとつに、E-P1のクセがいまいちつかめないということがありました。枚数稼がないとクセは掴めないのですが、なぜかあまり撮影する気が起きない(外に持って出る気が起きない)E-P1。完全にネガティブスパイラル状態だったのですね。

しかしここ数日〜数週間、あーだこーだといろいろ自室で撮影するにつれて、随分様子がわかってきました。

私なりの結論ですが、E-P1は、コンパクトデジカメの延長にあるレンズ交換可能なカメラであるということです。カメラの初期設定や、メーカーが標準と考える設定(Sharpness 0 の状態など)が、ぱっと見重視の過剰補正気味に振られていることからも、そう思います。

しかしながらひとつひとつの設定をつぶさに調べていけば、かなり自分好みな画調に近づけられそうだなという感触も、得られました。

まぁ使いこなしってやつなんでしょうけれど、今まで使ってみて思ったことは、『製品仕様の詰めが全然まるで甘いな』という感じです。

開発期間が足りなかったんですかね。ペン50周年に間に合わせることが至上命題になってしまって、見切りで発車しちゃった感がひしひしと感じられます。

このへんのことはきっとメーカーサイドも認識していることだと思います(これを認識できてなかったらカメラーメーカーとしてお仕舞いですからね)。でもまぁこのへんは、FirmWareのUpdateで全部対応できる範疇だと思いますから、今後に期待ですね。

ベイヤー機で解像率80%をコンスタントに超えているわけですから、基本性能は悪くは無いと、思います。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]
_ 12345(長文スミマセン) (2009-08-02 23:05)

素早い検証ありがとうございました!<br>シャープネス-1、-2良いですね。エッジも無いですし、解像力もさほど変わらない様ですし。<br>キャプチャ見ると-1はほんの少しキツイ気がするので、実用するなら管理人さんと同じく-1.5あたりがあるといいですね。<br>+1、+2の方は、かなりキツイところを見るとLPFが強力な頃のままのシャープネス設定なんですかね〜…<br><br>開発期間についてですが、ペン50周年に間に合わせるなら秋冬でもいいわけで、米谷さんが先日亡くなられた事を考えると、この時期に出したのは、氏がご存命のうちに発売したかったのもあるのかなと思います。<br>そう考えるとE-P1が出だしも良く好評を得ている事は、ペン生みの親の米谷さんには何よりも手向けになりそうですね。<br><br>まぁ、オリンパスにはしっかりアップデートしてもらいたいところですけども。

_ 青木@管理人 (2009-08-02 23:15)

12345さん:私も先日、米谷さんの訃報に触れ、驚きとともに非常な悲しみを覚えたのですが、確かにそういう背景もあったのかもしれませんね。<br>機会あれば私のE-P1にもダイヤモンドペンで刻印してもらいたいと思っていたのですが・・・ ご冥福をお祈りします。<br><br>だからってわけでもないのですが、私は今回、納得いくまでE-P1の解析を行い、庶民レベルで出来うる可能な限りの定量データを示してオリンパスに今後の改善、さらなるブラッシュアップを提案したいと思っています。

_ 12345 (2009-08-03 01:22)

私はフィルム一眼レフを使ったことは無いのですが、PENやOMは今見ても洗練されていて是非使ってみたいと思わせるカメラです。<br>米谷さんほど有名なカメラ開発者はそうはいないと各所で見ますし、偉大な方が亡くなったのだと感じています。<br>ご冥福をお祈りします。<br><br>ユーザーの感想や要望をメーカーに伝えるのは大事ですよね。<br>G1があれだけ売れたのもファームアップを積極的に行った事が一端を担ってると思いますので、オリンパスも頑張ってほしいです。<br>出始めに色収差補正から…<br><br>あと管理人さんの解析は庶民レベルを完全に超えていると思います(笑)


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