趣味の自作オーディオアンプ:ヘッドフォンアンプ三題
作成:2006年12月31日
最終更新:2007年 2月 6日
■ご注意■
ここで紹介している回路図は、私が実際に作った実装状態での回路図をご紹介しています。
例えば、『ここは設計上220マイクロファラッドなのだけど、手持ちがないから47マイクロファラッドで取りあえず実装しちゃえ』で作ったところは、回路図上も47マイクロファラッドで書いてあります。
このような『諸般の事情で』回路定数が変更になったところは回路図上にもその旨注記しておきますので、もし、追試される場合には注記の通りに部品定数を変更されることを強く推奨いたします。
#001、#002 印象その後
ちゃんとコンテンツとしてまとめたいところなのですが時間がないので取り急ぎここに追記です。
その後も#001、#002の試聴を継続しており、随分と音も聴きこみましたので改めて今日時点での印象をご報告します。
音の情報量、密度という点では圧倒的に #001 のほうが濃いです。SEPP前段の構成が異なるためか、それとも、ゲルマTrの成せる技なのかわかりませんが、とにかく #001 の音は高密度な感じです。先日思うところあって、電源のデカップリングを強化して低域クロストークを改善したのですが、その効果も大きいです。
比して #002 は、ほんと安く簡単に作れますから自作ヘッドフォンアンプ入門用として最適なのは間違いないですが、#002 で入門した人はぜひさらに上のレベルの自作にチャレンジして欲しいです。私の好きな音であることに違いは無いのですが、#001 と聞き比べると物足りないと感じるところがあることも事実です。
#003 は現在鋭意製作中で、取りあえず今のところの最強アンプになる予定ですが、もうすでに #004 の構想もかなり出来つつあります。
#003 はとにかく電力のロスが多いです。これが音の密度アップに一役買っているようには思うのですが、供給電力の大半が熱になってしまうわけですから地球に優しくないアンプであることも事実。
そこで、#004 は、#001 や #002 で使っている電力効率のよいAB級ドライブのSEPPに戻ってですね、しかしAC100Vから電力をもらうことで高い電圧でトランジスタを駆動する路線で考えてます。もちろん発熱も少ないですから、ケースへの実装や設置場所も気を使わずにOKって感じで。
気が向いて時間あるとき、自室で仕事中気分転換したいとき、突然未明に目覚めたときなどに、ちまちま進めてます。ゆっくりで恐縮ですがどうか気長にお楽しみください。
2007年 2月 6日追記。
2006年11月から12月にかけて設計製作したヘッドフォンアンプをご紹介します。
元はといえばかにこむ掲示板で常連サンが私が過去に作ったプリアンプをヘッドフォンアンプと勘違いし、「回路を紹介して欲しい」と書き込まれたことがきっかけになっています。
音楽というものは身体全体で感じるものだという考えを持っていたこともあり、私は過去に一度も、鑑賞目的でヘッドフォンというものを使ったことがありませんでした。窮屈そうでイヤだったってのもあります。
が、上記の書き込みで、「ヘッドフォンアンプなんてミニパワーアンプでよさそうだから、そんな難しくないだろ」と軽く考え「設計してみよっか?」と安請け合いしてしまったことがコトのはじまりです。さらにご興味あれば、このへんの「かにの泡ぶく」をご覧ください。
今日現在、二台が完成しており、一台が鋭意試聴中です。現在試聴中の一台も基本回路はFix.しておりますので、2007年正月休みを使って一気に完成させる予定です。よって、三台全部のコンテンツが揃うのは、2007年1月上旬予定です。
はじめにご紹介する二台は、初号機(#001)であるゲルマTrを使ったものと、二号機(#002)であるシリコンTrを使ったものです。どちらも単三電池8本で動く電池駆動ですが、アルカリ電池を使えば毎日2時間程度使っても一ヶ月程度は動く設計です。百円均一アルカリ電池を使えば、200円/月 のランニングコスト。もちろん外部に電源回路をつけていただいても構いませんが、一度は電池での音をぜひ、お聴きください。
「月200円なら電池のほうがいいや」って思ってしまうハズです。
もし万一、本リソースを読んで、はじめてヘッドフォンアンプを「作ってみようか」って思われちゃったかたがおられた場合、お勧めしたいのは #002 です。なんと言っても入手容易なパーツばかりで構成されておりますし、部品点数も少なく、オーバーオールのNFBがかかっていないこともあって音もかなりイけてます。ヘッドフォンアンプ入門編として自信を持って一押しします。調整箇所もありませんし、部品の選別も不要な設計になっているハズです。シリコントランジスタはVBEが約0.6VとゲルマTrよりも高く、電圧設計に苦労しました。はじめは設計マージンを安全サイドに振りすぎてしまい、K501等のインピーダンスが100オーム越えるようなヘッドフォンだと若干のパワー不足を感じる仕上がりになってしまいましたが、その後、ドライバ段を試行錯誤して電圧スイングも充分取れるようになり、最終的には #001 と比べても遜色ないパワーを出せるようになりました。
#001 はゲルマニュームトランジスタ(しかもコンプリペア)を入手できる人にはお勧めです。ヘッドフォン専用アンプというものを作ったのは、私の自作歴において実はこれが正真正銘の第一号。私がヘッドフォンに嵌るきっかけにもなってくれたアンプです。
SEPP回路の基礎実験をしているとき、いろんなコンプリペアで音の聴き比べをしていたのですが、そういえば大昔のゲルマニュームトランジスタで同番コンプリって持ってたなぁ・・・と思って、部品箱から発掘した同番コンプリ2SB178/2SD178を鳴らしてみたことがきっかけになっています。『こんな昔のゲルマをSEPPで動かすとどんな音が出るのだ?』ぐらいな感じで全く期待せずに実験してみたのですが音を聴いたら驚きでした。背筋に寒気が走るような音。これはすごいということで、手持ちのゲルマTrでコンプリになりそうなものを片っ端から試聴しまくり、一番私好みの音がした2SB22/2SD30で組んでみたものです。
まさに初のヘッドフォンアンプということもあって、回路も若干ごちゃごちゃしていますがこれはこれで一応自分としては納得の落しどころに落ち着いた回路です。
古ぼけたカンタイプのゲルマTrだって、現代の音楽を増幅したいと思っているに違いありません。私は最終的には2SB22/2SD30で作りましたが、2SB178/2SD178の同番コンプリもパワー溢れるパンチの効いた音を出してくれます。
#003 はかなりヘビーなので簡単にはお勧めできないものなのですが、電源をAC100Vから取るようにした純A級シングルのアンプです。今日現在主に電源部の評価中ですので、出来ましたら改めてご紹介したいと思います(2007年1月上旬予定)。
#001 2SB22/2SD30ゲルマTr SEPPヘッドフォンアンプ
うまれて初めて完成したヘッドフォンアンプ。しかし、試聴に試聴を重ね、回路変更何度したかわからないぐらい気合い入れて試行錯誤の上に作り上げたまさに私の初作品です。
ちょっと回路的に意味が難しいところもありますが、ほんの出来心で使ったゲルマTrのパワーも新しい発見でありましたし、お気に入りのアンプです。
この#001アンプは、原音再生という路線とはたぶん異なる音作りだと思いますが、今宵、リラックスしたいひとときに、いつもよりちょっとだけ高級なウイスキィ片手にお気に入りの音楽を聴くなんていうシーンには、このアンプ以外には考えられないぐらい私にとって良い音を出してくれる回路です。
ゲルマTrを入手できた大人の貴方に送る、お勧めのアンプです。
オーバーオールのNFB回路があるので、実装にちょっと気を使います。参考資料として、私の実装をご紹介します。このへんを参考にしてください。
単三電池8本駆動。設計電圧は10Vで、8Vまで電圧降下しても実用的な性能が出せるように設計したつもりです。もし、固定電源に改造する場合は、この回路図の定数のままであれば10VがBestですが12Vでも特に支障はありません。
2SK170(GR)のIdss選別がこの回路の命です。ゼロバイアスで動いている・・・ソースにコンデンサ入れたくなかったのでこうしたのですが・・・ので、Idss選別は必須です。が、まぁ、うるさいこと言わなければ多少のマージンオーバーはOKです。
バイアス生成用の10D-1は、10E-1でももちろん可です。確認しておりませんが、順方向電圧降下が0.6V程度の普通のシリコンダイオードであればなんでも可であるハズです。
実は単三電池新品状態ですと、終段のPcに余裕がありません。ゲルマTrがほんのり暖かくなります。とはいえこの定数で問題ないとは思うのですが、念には念をってことで、もし、お使いのヘッドフォンのインピーダンスが32オーム以上の場合は、エミッタ抵抗の10オームを、15オームにしてもらえるとより安心です。
回路の無信号時電流は、片chあたり18mA前後です(ステレオでこの倍)。内訳は、初段2SK30ATMに0.7mA前後、2SK170に4mA、SEPPアイドリングに13mA弱という感じです。
#002 2SB562/2SD468シリコンTr SEPPヘッドフォンアンプ
#001 は、出来心でゲルマTrに走ってしまいました。とにもかくにもなんせ入手困難(でも努力すれば不可能では無い)なデバイスです。#002 は、#001 で初めてヘッドフォンアンプを作った経験を活かし、かつ、今現在誰でも容易に入手可能なデバイスを使い、さらに、再現性をも重視するという思想で設計したアンプです。
全く無調整で、このまま作れば設計性能が得られるハズ(但しトランジスタのランク、クラス指定は厳守のこと)。
とはいえ、設計思想は筋が通ってます(自分で言うか ^^))。オーバーオールのNFBは無し。2SK30ATMでいきなり出力に必要な電圧スイングを得て、hfeがある程度確保できるTrペアでSEPPドライブ。ですので、2SB562/2SD468のクラスはCが必須です(普通はCが売っていると思います)。
音はまさにCoolな音って感じです。実に客観的な音を出してきます。#001 と比べてどうかといわれますと、比べようが無い音。餃子としゅうまいどっちが好きか? あるいは、日本酒とウイスキィどっちか選べと言われてそのどちらもが無理なように、どちらも良い音です。(その後印象が変わってます。2007年 2月 6日の追記をご覧ください。)
タンタルコンデンサは怖いですからね、本当は16Vで平気なはずですが、念のためにできれば35Vをお勧めします。でも、私は手持ちの関係で16Vで作りましたけど。
2SK30ATMのソースに入っている47マイクロファラッドの電解コンデンサは、手持ちの部品の関係でこの値になっておりますが、ここは、220マイクロファラッド以上に換装されるほうが、より良いと思います。この定数のままですと、低インピーダンスのヘッドフォンを繋げた場合、低域の落ちが早めに始まっちゃいます。さらに、ここの500オームは、一般の系列には無い数字なので、510オームで全然OKです。
回路の無信号時電流は、片chあたり10mA前後と、#001 に比べてかなり省エネです(ステレオでこの倍)。内訳は、2SK30ATMに2mA、SEPPアイドリングに8mAという感じです。
このアンプはコストパフォーマンスが素晴らしく良いと思います。全部品をサトー電気で集めた場合、ステレオ分でケースと電池除いて2000円でお釣りがきます。作るのに手間はかかりますが、このコストからは考えられないような音を手に入れることができます。
実装はこのへんをご参考に。
#003 2SC708H/2SD325ダーリントン シングルA級ヘッドフォンアンプ
鋭意製作中。しばし待たれよ。
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