作成:2008年 1月11日
青木 康雄 / お問い合わせ、ご連絡はこちらのフォームからお願いいたします。
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総合的な戦闘力高し! 中華ラジオ侮れず。

中華ラジオ2台目Get! DEGEN DE1103

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2007年暮れに購入したKchibo KK-S500。そこそこ持っていた期待を圧倒的に上回るポテンシャルの高さに感動し、同ランクの良きライバルと目されるDEGEN DE1103も続けてゲットした。

DE1103の納入は、2007年12月29日。質感云々についてはかにのログブックで紹介しているのでそちらを参照してほしい。

KK-S500を手にしたときは、そのあまりの衝撃に思わずhtml打つにもかなりの気合いが入ったのであるが、KK-S500で中華ラジオのポテンシャルの高さを垣間見てしまった今、DE1103を手にしても、もはや同じほどの衝撃を受けることは無くなってしまった。しかし誤解しないで欲しい。これは決してDE1103のポテンシャルが低いということでは無く、初めて手にしたKK-S500で、思いのほか高い中華ラジオのポテンシャルを知ってしまったが故に、中華ラジオに対する私の期待度の基準が高くなってしまったってことだ。
おそらくDE1103をはじめに買っていれば、KK-S500と同様な印象を持ったに違いない。「これが\9,800-かよ!」と。

KK-S500が独立コンテンツを持っているがゆえに、DE1103についても書き留めておくことが必要かと考え、急遽備忘録的に以下、約2週間の実使用での私の雑感をまとめてみることとした。
中華ラジオ2台目なので、どうしてもKK-S500との比較になってしまう点はご了承いただきたい。

■質感・サイズ・その他

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化粧箱は、KK-S500のほうが圧倒的に高級感ある。DE1103の化粧箱は、よくあるパターンの普通の箱。いかにもラジオが入っていそうな箱である。が、質感が悪いかと言えばそんなことは全然無くて、充分高級感のある、綺麗な箱である。
箱のサイズはKK-S500より合理的・・・というか、KK-S500が細長すぎるのであるが、梱包する際にもコンパクトにまとめることのできるサイズである。

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本体サイズは、KK-S500より縦横ともほんの少し大きい。また、KK-S500同様ストラップははじめから付いているが、DE1103の場合は外せない構造となっている。

ロッドアンテナの長さは、KK-S500が約77cmに対し、DE1103が約91cmと、DE1103のほうが14cmばかりリードしている。これがどの程度受信感度に影響しているかは不明だ。

付属品は、ドキュメント類一式と充電用の電池、ACアダプタと簡易なリールに巻かれた外部アンテナ。また、私の場合はワールド無線からの購入であるが、コンセントと電圧を日本仕様に変換する変換アダプタが付属する。

〆て、本体価格\9,800- + 消費税 = \10,290- (送料無料)であるが、KK-S500を購入した際のポイント還元があったので、込み込みで \9,918- で購入することができた。

■外部アンテナ端子

KK-S500で外部アンテナ端子不信に陥った私は早速外部アンテナ端子の外部導体側がGNDに落ちているか確認。DE1103の場合はきっちり落ちていることが確認された。この点、基本設計はKK-S500より志が高いといえよう。常用しているApexRadioの303WA-2を繋げてみれば、早速遠い大陸からの電波をばっちり受信してくれた。無改造でなんら問題ないので、開腹はせず。中の基板がどんな状態なのか等は、今回は見ずに済みそうだ。

■受信感度

ファーストインプレではKK-S500と比較すると短波帯で、少し耳が悪い印象を受けた。実際、SGで感度を測定してみると、DE1103のほうが入力電圧比で 6〜10dB ほど感度が低そうである。わかりやすく言うと、KK-S500では、1マイクロボルトの入力信号を識別できるが、DE1103では 2〜3マイクロボルトが必要である・・・ぐらいな感じである。但しこれが致命的かといえばそんなことは無く、ノイズに埋もれそうな超DXを必死こいて狙うようなシーンならともかく、通常の使用においてはKK-S500と比較して感度の低さが気になるようなところはほとんど無い。
これは私の個体に限ったことかもしれないのであるが、KK-S500比でDE1103は混変調特性が悪く、長波帯や1.6〜4MHz程度の中短波帯でJORFのお化けが多発する。この手のラジオの場合、ある程度は仕方ないのでこれをとやかく言うつもりは全くないのであるが、KK-S500はその点まだ少しマシである。

内蔵バーアンテナで受信する長中波帯は、DE1103のほうが感度も了解度も高い。中波DXには、以下で述べる選択度の件もありDE1103のほうが一歩リードってところだ。

こちらも参考までに。KK-S500 vs DE1103 再び。

■選択度

KK-S500には音質調整で MUSIC / NEWS 切り替えがあり、これは、AF段にLPFを入れているだけのようで選択度には全く変化が無かったが、DE1103の場合、MUSIC / NEWS はIF段のフィルタ帯域が(も?)切り替わっているようで、NEWS にすると通過帯域(選択度)が実測 2KHz 程度狭くなる。すなわち:
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  DE1103の MUSIC / NEWS 切り替えによるIF通過帯域(選択度)変化
  (超アバウトな雰囲気測定) 
  
  MUSIC : -5KHz 〜 +5KHz
  NEWS  : -4KHz 〜 +4KHz
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てな感じである。たったの上下 1KHz の差であるがこの差は実に大きく、込み合っている放送バンド内を NEWS でサーチすると、気持ちよくバサバサと切ってくれる。もちろん本格的な受信機並とまでは行くわけもないが、選択度についてはKK-S500よりも明らかに性能は上であり、実際2週間の実用を振り返ってみても、KK-S500の同期検波よりもDE1103のNEWSモードのほうが戦闘力は高いと感じる。
また、NEWSモードだとIF帯域が絞られるためか、混変調特性もかなり改善される。

■SSB復調

これはDE1103の大きなアドバンテージだろう。SSB復調機能はなかなか了解度の高い復調をしてくれるが、実使用においては問題がないわけでもない。

まず、スポット受信については全くなんの問題もない。
ボルメット放送など、あらかじめわかっている周波数の波を聴く分には、大変良好かつ快調に受信することができる。

問題は、サーチ中にSSB波に遭遇した場合だ。

DE1103のSSB復調は、BFOのピッチコントロールで行うが、このピッチコントロールの可変範囲がプラマイ2KHzぐらいだ。同調ダイヤルの同調ステップは1KHzなので、サーチ中に遭遇発見したSSB波を復調するためには、1KHzの同調ステップでだいたいゼロビート点まで追い込み、そのあと、ピッチコントロールで微調整するという手順を踏むことになる。
慣れの問題なのかもしれないが、この、SSB復調で1KHzステップというのは(IF帯域が広いこととも相まって)粗すぎる感があり、ゼロビート取るのが結構難しい。

BFOのピッチコントロールがせめてプラマイ5KHzあればかなり楽になるのであるが・・・

ちなみに、このBFOのピッチコントロールは「FINE」という名称が付けられて居るが、あくまでもBFOのピッチコントロールなのでSSBモード以外(AMモード)でのFINEチューニングのような使い方は出来ない(これが出来ればすごいのだが)。

■音質

KK-S500に比べると乾いた感じのトーンで、しかし、いやな音ではなく私としてはかなり好みの種類の音である。了解度が高い音と表現したほうがいいかな。
ただ、あまりにも大きな音を出すとびびることがあり、少しいただけない。しかし、そんなびびるほどの大音量を出すことは通常あり得ないので、気にするほどのネガティブインパクトでは無い。

■操作性

一番不便に感じるのが、音量調節VRが同調ダイヤル兼用である点だ。
確かにテンキーでダイレクト入力ばかりの使い方であればそう問題は無いと思うが、同調ダイヤルを使ってバンド内をサーチしたり、混信から逃れるために微調整したりする際に、音量を調整しようと思うと「VOL」ボタンを押して同調ダイヤルを音量調節VRモードに切り替えて、同調ダイヤルで音量を調整した後、モードが切り替わるのを待ってから引き続き同調操作を行うという操作になる。

ラジオにおいて神聖なる機能を持つ同調ダイヤルに、他の機能を割り当ててはいけないと思う。

ま、使い方の問題ではある。特に私の場合、同調しながら音量を調整することが非常に多いので、さらに面倒に感じるのだろう。DE1103にはLINE OUTがあるのでここにAFアンプを繋げて音を出し、本体の音量は常にゼロで運用するという方法もあり得るが、そこまで大掛かりにしないでさくっと聴けるのがこの手のラジオのメリットだろう。

次に不便に感じるのがテンキーの配置だ。
KK-S500は普通のテンキー配置だが、DE1103の場合、横一列に並んだ配置である。
明るいところで目視しながら押す場合はさほど問題には感じないが、夜の屋外などで、手探りで周波数を入力する際には著しく効率が落ちる。「えっと、これが 1 だから、3 は2個となりっと・・・」みたいな感じになる。

こんな配置になってしまった理由は、あの特徴的な受信バンド表示部に広大な面積を占有されているためだと思われるが、う〜〜ん、だったらまぁいいかな ^^)
この件は許そう。

但し、周波数をテンキー入力する際の操作フローは直感的でなかなかよろしい。

例えば、3925KHzにあわせたいときは:

 3 -> 9 -> 2 -> 5 -> BAND+

と押していけばよい。とっても普通である。比してKK-S500は:

 F -> 3 -> 9 -> 2 -> 5 -> F

と、なぜかはじめに F キーを押さないといけないのだ。今はもう慣れてしまったのでどうとも感じなくなったが、とても直感的でない。なんでなんだろう。こんな仕様になっている理由は未だに謎である。

その他気になる点としては、同調ダイヤルをまわして周波数を変えた際に生じるPLLノイズがかなり大きめである点だ。KK-S500でも「ぷちぷちぷち・・・」と、KHzが変わる毎にノイズが発生するが、DE1103はさらにこのノイズが大きめであり、周波数によっては「ひゅんひゅんひゅん・・・」って感じの機械的な音になる。
まぁ、慣れればどうってことないという点についてはKK-S500と一緒であるが、どうにかできるものであればどうにかしてもらいたい点だ。

■総評

KK-S500に続く2台目の購入となったこともあり、どうしても厳しい見方をしてしまうのであるが、総じて満足度は高く、KK-S500と比べて少し安いこともあり、コストパフォーマンスは相当高いと思う。
特に、ちゃんと外部導体がGNDに落ちている外部アンテナ端子や、IF帯域が切り替わるMUSIC / NEWS切り替えなど、受信機としての志はKK-S500より高いものを感じる。SSB復調機能がある点も嬉しい。

感度については上記でも述べたとおりKK-S500が一歩リードであるが、とはいえDE1103でも必要充分であり、感度の低さを体感することはまず無い。

DE1103についても、間違いなく誰にでもお勧めできる短波ラジオであると思う。

私の場合、他に多くの通信型含めて受信機を持っており、自宅Watchの際には必要に応じてそれらを使うことのできる環境にあるが、例えば、旅に出る際にKK-S500とDE1103どっち持って行く? と聞かれればおそらくDE1103だと答えるだろう。

混変調特性はNEWSモードにすれば(それでもKK-S500にはまだ劣るが)かなり改善するし、SSBモード搭載というのは出先で漁業無線や航空管制なども聴けて楽しさが広がる。また、NEWSモード時のIF帯域の戦闘力はなかなか高いものがあり、これらを考えると若干感度が低いとは言えそれは若干であり、そんなノイズレベルすれすれの局を追いかけるような使い方はそもそもこのラジオには合わない受信スタイルでもあるだろうしで、DE1103を選ぶと思う。

はじめてBCL用短波ラジオを手にする人にどちらを勧めるかと言えば、KK-S500とDE1103、初期不良品に当たりさえしなければどっちを買っても後悔することは無いと思うが:

・ある程度本格的に(外部アンテナなども視野に入れて)受信してみたい。

という野望がある場合、無改造でちゃんと外部アンテナが繋がり、選択度の高いDE1103のほうがよいだろう。

「改造全然OK大丈夫」という同好の志は、私がここでアドバイスするまでもないだろう。
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