自作線量計のリファレンスとして購入した浜ホトガンマ線検出ユニット「C12137」。いろんな実験をしながらその過程をご紹介するという主旨で、ほんとは5月連休明けにもオープンするハズだった本頁。しかし・・・なんだかいろいろ、あっちこっちと手を出しすぎてしまっているせいか、なんだかやっていることがこのごろ離散的に・・・
まぁいっか。いつだってマイペース。取りあえず、本格的に自作線量計の性能を見極め、最終設計に入るべく、ようやっと「C12137」で、ある程度定量評価の材料になりそうな測定を行ってみました。
まずはベタデータですが、ざーっと、ご紹介します。
こちらで紹介している鉛遮蔽容器を使っての測定です。
今日現在でまだまだ現在進行形の案件なので、今後も随時更新されます。
アイメジャー株式会社信州ラボのゲルマニウム測定器での測定で、流通基準値ぎりぎりに近いレベルであることが既知の乾うどん。個人的にはいやーな感じの放射性セシウムが入っている個人的基準検体 ベクレたうどん を測定してみます。
137Cs : 38.1 (+- 0.5) [Bq/Kg]
134Cs : 24.6 (+- 0.5) [Bq/Kg]
40K : 55.5 (+- 5.3) [Bq/Kg]
こんな感じのものです。本測定の検体量は 250 [g] なので、放射性物質濃度はNetで上記の 1/4 となります。
C12137は、3.38 [cc] のCsI + MPPCという構成。おそらく線量計を自作したとしても、1万円以内でこれを上回る検出器を作ることは難しいでしょう。ということで、1万円自作線量計検出器の性能目標は、C12137と同等と設定しているのですが、そのC12137で、この検体の放射性セシウムが見えないとなると、お先は相当暗くなってしまいます。
左のスペクトルですが、C12137のMCAが生成するchは4096もあって今回の用途には細かすぎるので、16ch毎に加算して 256 ch にダウンサンプリングしています(以下同じ)。
さて・・・いちおう、見えてますね。134Cs の605, 796と、137Cs の662 によるピーク三兄弟が小さいながらもきっちり見えています。このあたりだけを拡大してみると、よりきっちり見えます。
40K は全く捕捉できませんね~。どうも、コンプトン散乱による低エネルギー側の盛り上がりのみに貢献しているようです。この現象は自作線量計でも同様に発生し、 40K をどう処理すべきか悩んでいたのですが、捕捉できないものは仕方ないです。580 ~ 820 [KeV] ぐらいの Cs ROI計数と、全帯域での計数、 40K コンプトンパターンを解析ソフトに持つことで、計算処理しようと計画しています。
2012年2月25日に、ATOMTEX AT1320AというNaIベクレルモニタで計測したときの結果がこちら。
137Cs : 1830 (+- 470) [Bq/Kg]
134Cs : 1950 (+- 440) [Bq/Kg]
こんな感じのものです。検体量 12 [g] しかないので定量値はあまりにもアテになりませんが、まぁ、たくさん入っていそうですよね。
スペクトルを見てみますと、ベクレたうどんよりも、ピークがはっきりしています。なお、縦軸は計数単位を cps にしていますので、本頁にある全てのスペクトルデータはこの数値で相対比較が可能です。
ベクレたうどんの 137Cs が、ざくっと 0.002 cps ぐらい?( [測定値] - [BG] ) これで Net : 10 Bq 分ぐらい。
24時間換気口フィルタの 137Cs がざくっと 0.005 cps ぐらい?( [測定値] - [BG] ) これで Net : 21 Bq 分ぐらい。
比率を見ると、案外いい線行ってますね。行けそうな気がする~~~
180 [g] のやさしおを、測ってみました。
すなわち、 40K として、約1510ベクレル入ってます。
今までの事例と比較すると、1510ベクレルもあるわりには、やっと 0.01 [cps] と、計数はかなり低めです。
やっぱ見えにくいんですね、 40K は。
ATOMTEXのAT1320Aでも、 40K の観測精度はなかなか上がりません。高エネルギーガンマ線は、ガンガン突き抜けて行くんですね。
鉛遮蔽容器内での測定ではないので、BGは表示していません。
まぁ、所謂なんの変哲もないバックグラウンドエネルギーレスポンスです。
ヘンなものが無くって、よかったぁ~ ^^)
特性X線放射が綺麗に観測されています。
いやマジで綺麗ですね~。このスペクトル見ながら飲む酒は最高に美味いっ!
トリウムはその崩壊過程でいろんな核種を発生させるため、複雑なスペクトルを示します。
このスペクトルからも、様子がわかりますね~
興味あるかたは、「トリウム系列」というキーワードで検索かけて、出てきたスペクトル図とこの左のスペクトル図を、見比べてみてください。