徹底比較! Nikon CoolPix700 vs FUJI FinePix1500

のまとめ

1999.07.18  第 0.1.0 版
1999.07.17  第 0.0.0 版

master@kani.com / 青木 康雄

あなどるなかれ、DS-7

なんでこんな昔の、到底スペック的には最近のメガ機に対抗できるわけないようなDS-7をラインナップに加えたのかは、単に私の思い入れからだけでないことがわかって貰えたことと思う。そう、元画像で比べたらそれこそ元も子もないが、サムネイルで比べる限り、DS-7は全然遜色ないどころか、むしろよい色さえも出していた。つうことはだ、今時の最新デジカメですら、色的にはDS-7を越えれちゃぁいないつうことを俺はひとつ、言いたかったわけだ。

以上。おしまい・・・・・はじょーだんで、昨今の高画素競争が確かにハイクオリティープリントには必須の技術進歩だし、これがあったからこそ、私も1998年には家族スナップや結婚式お写真含めて完全デジカメ化を成し遂げることができた。が、200万画素越デジカメが10万円以下で買えるいまの時代、もう高画素はこんなもんでいいでしょ。やっぱ、これからは色もちゃんと考えようよ・・・・って、思う。
ネガポジ度

最終原稿という概念をまず説明したい。最終原稿とは、その名の通り最終段階の原稿で、印刷業界では入稿(印刷機に入れる)直前のものを指す。これは、完成された原稿(この場合は画像)を意味するわけだ。で、例えば、銀塩写真の場合、ネガフィルムの場合、ネガは最終原稿にはなり得ない。なぜなら、自然界の本来の色が反転されて記録されとるわけで、これを、印画紙にプリントすることにより、本来表現したい色に完成するわけだ。言うなれば、ネガは後処理を前提にしており、この後処理(例えばプリントしたラボ)で、できあがったプリントの色調も異なってしまう。ネガフィルムの場合、最終原稿を得るためには、印画紙へのプリント(あるいはソフトウェア的ネガポジ反転でもいいけど・・)を行う必要がある。後処理を前提にしているので、撮影時に多少の露出ミスなどがあっても、後処理でなんとかリカバリーできることが多い。

ポジフィルムの場合は、フィルム上に本来表現したい色がもうできてしまう。印刷入稿でもポジフィルムはそのまま入れられることも多い(印刷特有の画像処理や色変換を除く)。ポジフィルムは、後処理を前提にしていないので、フィルム上に再現された色が最終的に表現したい色に一致する。ポジ上にできた画像がもう完成原稿と言えるところから、ポジフィルムは最終原稿となることができる。撮影に失敗は許されない。失敗はそのまま画像に反映される。

で、ようやく本題だが、今回評価したデジタルカメラ5機種を、ネガポジ度に分類してみたいと思う。ネガ度の高いものは、後処理するとグンと画像が生き返り、撮影時に多少おかしなシチュエーションで撮ってもそこそこなんとかすることのできる画像。ポジ度の高いものは、後処理で救える可能性は少ないが、撮った画像がそのままもう素晴らしく見栄えのする画像。ということもできる。

注意:ネガポジ度と言ってもこれは写真業界用語的発想での位置づけであり、ネガティブだから悪いとか、ポジティブだから良いという、善し悪しの評価をするものじゃないのでお間違い無きよう。上にも書いた通り、ネガは撮影時の許容量が大きく、後処理で画像をいじることのできる余力があるというメリットがあり、ポジは後処理不要な分、撮影時の許容量が小さく、失敗するとだいたいどうにもならないという特徴を持つので、お互い様なのである。
C-1400XLは、もうレタッチの余地のないような画像を写してくれるけども、失敗するとどうにもならない結果になることが多い。
レタッチしようがないので作例無し。

FinePix700は、軟調な軟らかいトーンの画像なので、一見メリハリに欠ける印象を持つが、ちょっとしたレタッチで見違えるほど綺麗になる。情報量は豊富で、過酷な状況下で撮影しても、よっぽど失敗しない限りレタッチで救うことができる。
レタッチ前→    レタッチ後→


FinePix1500は、FinePix700よりはメリハリ系画像で、色も鮮やか。しかし、階調のやわらかさは残っており、レタッチしないでも使えるけども撮影失敗する率にも配慮しました的雰囲気かなぁ。なので、レタッチすればもっと綺麗になるよ。
レタッチ前→    レタッチ後→


CoolPix700は、なんだか薄いモヤがかかったような画像を出すことが多く、どうもホワイトバランスにクセがあるようだ。これも、ほんのちょっとのレタッチで見違えるように綺麗になる点はFinePix700と同点。ただ、ホワイトバランスがオートでこれが結構くせ者である(FinePix700は固定ホワイトバランスなので、偏り傾向は一定)ので、レタッチの必要性がやや高いかも的判断により、ちょっとだけネガ度をプラス。
レタッチ前→    レタッチ後→


まとめ

いやぁしかしいい時代になったものだ。FinePix1500画像はFinePix700に比べて甘いとか、CoolPix700周辺にじむとか、なんだかんだと言わさせていただいたけど、2年前のメーカー間や機種間の(よくない意味での)画像品質ばらつきに比べれば、FinePix1500も、CoolPix700も通常使う分には全くなんの問題もない良好な画像を作ってくれる。

いちお、メイン主旨はCoolPix700 vs FinePix1500なので、この2機種を中心に。

画素数については、CoolPix700が211万画素で1600x1200、FinePix1500が150万画素で1280x1024。CoolPix700が高画素なわけだけども、正直言って、だからすごくアドバンテージがあるとは特に感じかなった。例えば銀塩プリントでL判に焼くことを考えても、解像度的には1280x1024で充分だし、それに、CoolPix700は、1600x1200を使い切っているとはちょっと言えなさそうだし。2LとかA4にまで伸ばすことをすると、CoolPix700の高画素が効いてくるかもしれないけど、普通のスナップ感覚で使う分には、CoolPix700の、対FinePix1500高画素アドバンテージは特に無いでしょう(と、言い切る)。

だからさ、やっぱ211万画素クラスになると、最低でもCoolPix950クラスのレンズか、C-1400XLのレンズに2/3インチCCDの組み合わせぐらいの画素解像ピッチ比が得られるぐらいの強力なレンズを使わないと、ちゃんと211万画素使えないわけだ、と。
しかし、前から思っていたことだけども(ヨタ話(1999年6月7日分)でも書いた)改めて書くと、C-1400XLのあのレンズに、2/3インチ原色141万画素CCDを使ったデジカメつうのは実に強力だ。もう多分もしかしたら二度とこの世に現れないと思うので、買っておいてよかった・・・じゃなくて、写真好きなひとは、即押さえるベシ・・・・って感じだ。

FinePix1500とCoolPix700、どっちがお気楽スナップにお勧めか? という結論付けは非常に悩むのだけれども、スマメ嫌いな人はCoolPix700にしましょう ^^)。つうか、これは完全に好みで決めてしまっていいように思う。どっち買っても後悔はしないんじゃないかな。ただ、敢えて言うならば、

・撮影後の画像データのハンドリングの容易さ
・持ち運ぶときの大きさ(セカンドバッグに楽に入るか?)
・撮影画像の後処理の楽さ(ネガポジ度参照)

などを考慮して、スマメでもよい人であればFinePix1500のほうがお勧めだな。実売価格的にも安いし、レスポンスは、FinePix700に比べて全然快適だし、シーン別なんとかかんとか賢いホワイトバランスは、確かにかしこそうだし(すなわち撮影時の失敗が少ない)で、お気楽に使って高画質を楽しみたいのであればFinePix1500のほうがいいな。
比してCoolPix700は、マニュアルモードがFinePix1500よりも多彩なので、お気楽コンパクトだけども、ごくたまに凝った設定で撮りたい時もあるの〜 みたいな人は、CoolPix700のほうがいいと思う。なんでCoolPix700にシンクロ接点付けなかったか疑問なのだが(コストの問題か、CoolPix950との明確な差別化のためか?)、これに外部ストロボシンクロ接点ついてさ、露出も完全マニュアル制御できるようにすれば結構強力なコンパクトデジカメになったと思うのだが。あ、あと、CoolPix700には、各種コンバータレンズ(ワイドとか魚眼とか)があるので、多彩な表現手法が使えるね。これも見逃せないかも。私はまだゲットしていないんだけど、近々にゲットして遊ぶ予定だ。

以上、取りあえず、こんなところでお開き。
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